①気候変動は、人類及び地球にとって緊急かつ取り返しのつかない脅威。パリ協定の枠組みのもと、世界中の国々が解決に向けて取り組んでいる。全球を均一に観測することができる衛星観測は、気候変動のメカニズムの理解や政策上の意思決定に必要な科学的根拠を提供するための役割を担っている。E社とJ社は、より正確な温室効果ガス(GHG)排出量の把握のために協力を進めており、将来予測の不確実性低減のために、「EC衛星」の共同開発に取り組んでいる。先月京都において、IPCCの第49回総会が行われた。
②IPCCは、パリ協定の実施にあたり、各締約国の活動や報告の透明性を高めるため、各国の温室効果ガス(GHG)排出量算出方法を規定した改良ガイドラインを議論してきた。改良ガイドラインでは、各国の排出量インベントリの比較手段として、衛星観測の有効性が新たに記載され、京都で採択された。これは、宇宙機関や研究機関が協力して示してきた、衛星による温室効果ガス観測の科学的・技術的進展が認められたことによるもの。この場を借りて、皆さんのご協力に謝意を表したい。
③衛星観測データが世界中のインベントリ関係者や気候変動の政策関係者に用いられることを目指し、J社は、E社をはじめ、C社やD社との間で、プロダクトの精度の向上と、異なる衛星間でのプロダクトの均質化を図る取り組みを推進している。「EC衛星」は気候変動における将来の予測において、不確実性が高いとされる高層大気の雲及びエアロゾルを監視するもの。「EC衛星」の観測データは、将来の予測の精度を高める上で不可欠なものである。J社はCPRを開発している。
④CPRは、ドップラーレーダ技術を用いて、雲やエアロゾルの鉛直分布や動きを測定する世界初の衛星センサである。CPRの開発においては、現在技術上の課題に直面しているが、E社から全面的な支援を得るとともに、J社はコントラクタと一丸となって解決に向けて取り組んでいる。この課題を乗り越え、気候変動予測の前進に不可欠な観測を実現させるためにも、引き続き緊密に連携してまいりたい。J社は、「JS衛星」以降、25年以上にわたり、「LS技術」の開発・運用の経験を蓄積してきた。
⑤その間、災害、海洋監視、森林・農業等の分野での利用を通じて、「LS技術」が、さまざまな社会課題の解決に、有用であることを示してきた。J社は「ALシリーズ」のLSによる全球観測を継続し、世界中で利用されることによって、SDGsをはじめとする世界規模の様々な課題解決への貢献を継続する。過去にはE社との間で、「JS衛星」や「AL衛星」ミッションの際に、データ交換や直接受信の協力を行ってきた。E社は欧州でのデータ利用の推進において、重要なパートナーであると認識。
In the past, with E company, during the "JS satellite" and "AL satellite" missions, we helped with data exchange and direct data reception. E company is recognized to be an important partner in the advancement of data usage in Europe.
⑥現在、極域の海氷キャンペーンでの「AL衛星」データと欧州の「SN衛星」の同時利用をはじめとし、森林、土地利用等の分野の科学利用に双方の関心が表明されているところ。J社としては、「AL2衛星」データの利用が欧州内で推進されるよう、E社と協力していきたい。「AL2衛星」でのデータ利用協力を通じて、欧州におけるLSデータの利用が更に進み、将来の「AS4衛星」の直接受信の協力に向け、検討が前向きに進むことを期待。