BASEが売っているものは商品ではなく「体験」
現在、楽天に出店している店舗数は約3万9000店舗(※1)、ショッピングカート大手のカラーミーショップを導入している店舗は3万6800店舗(※2)だという。前述の通り、昨年11月末に立上がったBASEは1万5000店舗にまで伸びている。しかしこの比較は正しいだろうか。
The number of the stores opened up in Rakuten is said to be approximately 39,000 stores (※ 1), and those with the Color Me Shop, the major shopping cart service, are 36,800 stores (※ 2) now. As stated above, BASE, launched last November, has grown up to 15,000 stores. However, is this comparison correct?
Nowaday it's said that the number of shop in Rakuten is 39,000 (*1), and in shop introducing Color Me Shop, a major shopping cart service, is 36,800. As mentioned above, BASE, established in the end of last November, reaches 15,000. However is this comparison correct?
BASEというサービスをどうみるか、色んな意見があって面白い。安い(というかタダなんだけど)ショッピングカートという人もいるし、ホームページ作成サービスの亜流のような捉え方、Gumroadのようなコンテンツ指向もあるし、Etsyのようなマーケットプレースかもという話もある。
出典:(株)日本流通産業新聞社「日本ネット経済新聞2012年5月24日号」/カラーミーショップサイトより
Reference: “Nihon Net Keizai Shimubun, May 24, 2012 Issue” published by Nihon Ryustu Sangyo Shimbun, and the ColorMeShop’s website.
私はTumblrに近いと思っている。楽天やショッピングカートとの比較に違和感はあるけど、Tumblrのようなプラットフォームと比較すればあまりおかしく感じない。なぜか。彼らが作っているのがショッピングページというよりはコンテンツに近いからだ。彼らは同じくポータルを持たない。
以前私はこのような記事を書いた。彼らに近しい友人が「エビストラップ」や「自画像」を販売している。ひとつは手渡しで、ひとつは売ってるにも関わらず、ダウンロードが可能だった。真面目に文章で書くのもアレだが、このことに関連して家入氏が「モノというネタを通じてコミュニケーションを楽しんでいる」と話していたのが印象的だった。
彼らはポータルを持っていないので、BASEで売っている商品を探すことは出来ない。探す必要がないからだ。全く文脈を知らない人がいきなり似顔絵を出されても訳が分からないし、購入なんてしないだろう。あくまで購入という行為は販売者と近い関係にある人から広がった「輪」に存在する。
そうやって小さい輪から口コミで広がり、例えばこの「自分の名前を入れた和歌を作ってくれる」ショップは数十件の注文が入って現在注文を止めているそうだし、「月間で数百万を売上げるショップも出てきている」(鶴岡氏)という結果につながっている。
友人のTumblrを眺めているとたまに感動的なモノに出会うことがある。コメントをしたりリブログしたりリアクションする。BASEはこの体験の上に「買える」というアクションが追加されたものではないだろうか。
When I look at my friend’s Tumbler page, sometimes I happen to find something impressive. I comment, re-blog, or react on it. I think that BASE is a service which is built base on these kinds of experiences, with an option of purchasing.
ーーーこれらのサービスは文字で商品を検索させ、値段という数字で比較をさせない。イメージを駆使し、自分の価値観を人に勧める。モノによるコミュニケーション、買ったことへの話題づくりという体験を付加価値にビジネスしようとしている。このような「メディア化するEC」サービスはこれからも出てくるのではないだろうか。