「決済ビジネスは新時代に入る」ーー国内ネット決済が次にみる夢は「O2O」と「ロングテール」
経済産業省が公表している平成19年商業統計(※1)をみると、小売業における年間の商品販売額は約134兆円で、平成23年度時点の電子商取引(EC)の市場規模とされる8.5兆円(※2)と比べると、まだまだその差は大きい。一方で、小売業の年間販売額がほぼ横ばい状態の中、毎年5〜8%という成長を続けるなど、その伸び率ではECに軍配が上がる。
When you look at commercial statistics in 2007 published by the Ministry of Economy, Trade and Industry (※1), annual sales amount in retail sector was around 134 trillion yen and the difference is still large, compare to 9.5 trillion yen(※2), a estimated e-commerce(EC) market size in 2011. While annual sales amount in retail sector is broadly flat, e-commerce win the title as for the rate of increase, continuing its annual groth from 5 to 8 %.
According to FY2007 Commercial Statistics Report (※1) published by the Ministry of Economy, Trade and Industry (METI), the total retail sales of the year reached 134 trillion yen, but the e-commerce (EC) market size of 8.5 trillion yen (※2) in 2011 still represents a rather small fraction. On the other hand, while the total sales of the retail industry stays almost unchanged, EC outnumbers in its rate of growth at 5-8% annually.
そしてこのECの成長と共に伸びてきたのがネット決済の世界だ。国内でも1990年代後半に専業の事業者が出現し、いかにして個人情報をセキュアに扱うかや、加盟店の利便性や手数料などを差別化ポイントに、ここ10年で多くの事業者がしのぎを削ってきた。そして今、米Squareなどの出現による新しい決済の流れがこのアジアにも現れようとしている。
私は国内の電子決済がどのように成長し、そしてこれからこの分野がどこに向かうのかを知りたくなり、ある一人の人物を尋ねた。ゼウスの代表取締役、地引一由氏だ。
日本のネット決済黎明期
決済代行サービスを提供するゼウスの創業は1999年。CCSペイメント・ワン(現GMOペイメントゲートウェイ)やサイバーキャッシュ(現ベリトランス)といったプレイヤー達としのぎを削り、日本のインターネット黎明期の決済を支えた。
Dawn of Japanese online payment
Zeus, founded in 1999, is a service which provides payment representative service. It engaged in fierce competition against CCS payment one((actual GMO or Cyber Cash(actual
Dawn of Online Payment in Japan
The online payment service provider Zeus was established in 1999. It competed against players such as CSS Payment One (currently GMO Payment Gateway) and Cybercash (currently Veritrans) and supported online payments during the dawn of the Internet in Japan.
「創業当時はいわゆるネットの黎明期。ネット決済がそもそもないのでそれなりの契約は取れる状況。一方で現在は要望も多く、細かくなっている。単純にサービス提供するだけでなく、ネット販売におけるノウハウなどをあわせて伝えるコンシェルジュのような立ち位置での仕事が求められる」と国内の決済代行サービスを振り返る。
決済代行という立場上、彼らは加盟店の決済状況から好調なサイトがどのような傾向なのか把握することができる。地引氏は売れているサイトにアフィリエイターとして登録してその比較をしてみたり、様々なノウハウを整理して加盟店に伝えたりした。こういう地味な努力の積み重ねで差別化や継続率の向上を目指したという。
このようにして日本のネットを10年以上見続けた彼が今、この決済業界で起こっている二つの新たなビジネスチャンスについて教えてくれた。
これからやってくる2つの大きな波
まずひとつ目は北米Squareが巻き起こしたモバイル端末による「より敷居の低い」決済方法の登場だ。露天やタクシーなど、これまで以上に小さな事業者にまで決済インフラを一気に拡大させ、「加盟店のロングテール化」という劇的な変化を世界的に巻き起こしている。
2 upcoming large waves
The first one is the emergence of the "lower threshold" payment method as sen in the sensation caused by North America's Square using mobile devices. Payment infrastructure has been extended to small businesses such as open-air stands and taxis, revolutionizing the payment industry world-wide by creating the long tail of affiliates.
Two Big Waves Still to Come
The first is the emergence of the payment methods with "a lower bar" using mobile terminals triggered by the North American company Square. It exploded the payment infrastructure to even smaller merchants than before, from street markets to taxis, and is stirring up the dramatic change of "long tailing of the affiliated stores" worldwide.
もうひとつが「O2O」だ。クラウドサービスの進化と導入コストの低下で、オンラインとオフライン店舗の決済と在庫や顧客管理の一元管理がさらに進み、Apple Storeのように店舗のショールーム化、決済はオンラインに統合されるという変化が起こりつつある。「オン・オフ店舗の在庫と決済の一元効率化」の結果が消費者や売上に還元されることになる。
ロングテールとO2O。地引氏が特に注目しているのが「O2O」なのだという。
Between long tail and O2O, Jibiki is especially interested in O2O.
決済屋がみる「O2O」とは
モールやオークション、自社ECとオンライン・チャネルが増え続けるなか、2005年頃に出てきたオンラインショップ管理ツールはひとつの出来事だったのだという。これによって出品管理が簡単になり、さらにEC市場への商品数や接触機会が増加していったからだ。そして地引氏はこの流れがオフラインへとやってくるという。
With the online channels increasing with the malls, auctions, and its own EC, the online shop management tool that came out around 2005 was something of an event. It simplified sales management and further increased the number of online products and contact opportunities. And Jibiki believes that this trend will be coming offline.
「商品管理がさらに効率化され、店舗であろうとオンラインであろうと在庫が適切に管理され、売れる場所で売れるようになる。ポイントってどこでも発行してるじゃないですか。あれ、オンラインとリアル店舗で別々だったりするんです。これも共通化されればさらにチャンスが広がる」。
このオンとオフの一元管理こそが決済屋の考えるO2Oなのだという。リアル店舗にはオンラインでもたらされる顧客や在庫、マーケティング情報が届き、リアル店舗では過剰な在庫を抱えることなく「ショールーム」としての役割を明確にすることができる。
continuing its annual groth⇒continuing its annual growth