これまで消費することが役割とされてきた消費者について、近年、生産活動を行っているとする研究が数多く報告されている。それは先進的な消費者が行うだけでなく、一般の消費者も日常の中で行っており、ITの進化により消費者による生産活動はさらに活発なものとなっている。こうした消費者を、価値の視点から共創者と捉えたのが、Vargo氏が提唱するS-Dロジックである。S-Dロジックでの価値は共創されるものであり、企業と消費者の双方の活動が常に必要とされる概念である。
しかしS-Dロジックは概念であるため、利用するのは困難であるとされてきた。そこで本研究では、概念モデルであるS-Dロジックを利用可能なモデルへと発展させるため、一考察を与えることを目的とする。S-Dロジックは価値の共創を定義していることから、S-Dロジックの基本的前提(以下、FP)を使い、消費者の共創意識を数値化することで、共創による価値を判断できると考えた。方法として消費者の意識調査を行い、消費者の共創意識を共創度合いとして計った。
またS-Dロジックの有効性を判断するために対の概念であるG-Dロジックを用い比較を行った。調査対象にはS-Dロジック志向にアイドル・グループであるAKB48、G-Dロジック志向にKARAを選定し、それぞれのファンに意識調査を行った。その結果、S-Dロジック志向であるAKB48の共創度合いが高い結果を示し、その裏付けとして、市場での観察からも、AKB48は共創活動が高い数値を示した。