私たちは普段から使いなれた道であっても,自身の歩行ペースが適切であるか, 曖昧で不安な状態のまま目的の場所へ移動している「時間的な迷子」である.これまでの解決策として,カウントダウンや理想速度を示すシステムが提案されてきた.しかし,数値情報やメータ表示等では情報量が多く直感性に欠けていた.本論文では,現在の歩行速度が理想速度からどの程度ずれているか,数値情報を可視化させ,路面上に直接投影される三人称視点を用いた手法を提案する.
予備実験として,実際に到着予定時間に到着するかを目的とした,システムの精度の評価実験を行った.次に,デバイス使用時と使用なしの比較実験を行い,路面上に二点投影する提示方法が,ユーザにとってどのように受け入れられるかを評価した.三人称視点を使った二点の投影方法は,歩行ペースが理解しやすく有効であり,被験者からの好感度も高かった.展望として,デバイス使用を介してのエンターテイメントツールやコミュニケーションツールとしての利用が考えられる.