例えば、「みんなの声」という、テキストでこれが欲しいと記述する機能。空想無印はそれしか使ってないのに等しく、空想生活も声からスタートする。反対に、ほとんどが海外ユーザのLEGO CUUSOOはその機能を完全に落としている。あくまで、自分でつくった人がこれ欲しくない?と提案して投票が集まる形にフォーカスしている。オーバースペックだった日本版を、海外向けではグーッと減らして提供。減らしたことで逆に特徴がでている
「日本発の、ゲームではないソーシャルなサービスで海外進出しているものはまだ一つもありません。私たちが目指すのはそこです。2012年6月時点でCUUSOO全サイトのユーザの半分が海外。LEGO CUUSOOは9割が海外ですが、今後もっと海外で通用するサービスにしていきたい。また、例えばAPIを公開するなどして、KickStarterのようなサービスと繋げやすくしてあげることも考えています」。
腹を据えて問題を直視したから得るもの
最後に、西山氏ご自身についていくつか質問をしてみた。
Q。モットーは?
“No pain no gain.”です。Painがないgainは振り返ると忘れてしまう。生きていて、あれ大変だったけど良かったよなとか。本当に死ぬかと思ったくらい事故が続いた展覧会があったんです。本当にもう絶対間に合わないって修羅場を何とかやりきって。
あんな目には2度と合いたくないって思うけど、ああいう苦境とか苦難に直面しなければ人間関係も生まれなかったろうし。2度とごめんだって思いつつ、皮肉なことに本当に腹を据えて問題に直視して望まなかったプロジェクトやその成果って忘れてしまう。浪費してるとか言いませんが、すごいことにはならないし自分の糧にはならないと思います。
Q。好きなウェブサイトは?
よく使っているサイトは、Pinterest、Linkedin、Facebook、Dropbox。こういったサービスに集めたリソースで、空想のユーザがやっているようなことを試してみたい。Kickstarterと空想に自分の仮説をアイデアとして投げて、予約を集めて商品化して手作業でつくったものをetsyで売るとか。量産化できてメーカーにライセンスできればロイヤリティが入ってくるかもしれません。常に他のユーザから学んでいるし、自分で実践してみたい。
Q。お気に入りの本やバイブルは?
Marshall McLuhanの「The Medium Is the Massage: An Inventory of Effects」、アルビン・トフラーの「第三の波」。でも一番は、ロバート・A・ハインラインが1957年に発表した「夏への扉」というSFです。アメリカSF界における傑作で、これを読んで空想生活をつくったといっても過言ではない。発明、起業、投資、あらゆる要素が入っていて、あっという間に読めてしまいます。
Q。自分の強み、弱みは?
ここ1年ほどでつくづく思いましたが、強みは何かを立ち上げることですね。何かを始めるのはすごく得意だし、結果をだせるし実績もある。能力でいえば集中力が長けているのでしょうね、追い込んで集中すると何かできる。
その反面、大きくなった組織の中でそれを維持するのは難しい。新しいことを次々やりたい性格なので。そっちの衝動が強くなるから、有限の時間をつくったものをメンテするより次をやりたいって思う。といっても15年やってますけど(笑)。
Q。いまの自分のゴールは?
自分で選んだわけじゃないですが、「起業家」といわれることが多い。海外、特にアメリカで“entreprenuer”って紹介されることが多いからかな。一回エグジットをしないといけないと思ってます。上場させるか売却するかを一度やってみないと完成しないなと。つくって黒字化させるところまでは得意ですが、それをメンテしないんだったらもっと上手にメンテできる人に引き継ぐとか。
CUUSOO SYSTEMとエレファントデザインでそれは両方できましたが、今度それをキャッシュに戻すこと。自分で輪廻転生を完成させる、ワンサイクルをやり遂げたい。起業家プロセスの4分の3までできることがわかったので、数年以内にエグジットを経験したいですね。