ミズキ:「今日中ってことは、俺が寝なければ明日の一時は今日の二十五時だろ? なんとかなるって」
ナツメ:「て、徹夜すること前提で返事をしたの?! しかも一人でやるつもりで!」
ミズキ:「徹夜する体力もないオバサンはもう引退しろって意味を込めて、やり遂げてみせるよ」
それは強がりでも何でもない、自信があるから言えることだった。
徹夜なんてミズキは今まで何度もしてきたのだ。大半が「眠ったら死ぬ」という状況下ではあったが。
貧民街の者たちなら、このくらい経験している。
Natsume : "Wha... you said you'd do it knowing you would not sleep? Just by yourself?!"
Mizuki : "I will do it so I can indirectly give her a hint that an old lady like her with no stamina to stay up all night should retire"
Mizuki says so not because he is trying to put on a brave front, but because he has a confidence.
Mizuki has done some all-nighters on several occasions. Most of them were under the situation whereby "he would die if he did sleep".
This is nothing new for people from slums.
ミズキ:「よし、終わった!」
マユミの言いつけどおり、城の廊下の窓を全て拭き掃除した。
眠気はあるが、凍え死にしないように起き続けるのとは達成感が違う。
とても清々しい気分で、目に沁みる朝陽も全く気にならなかった。
ナツメ:「ふぁ~………こっちも終わったよ~………」
ナツメが大欠伸をしながら、廊下の向こうからやってくる。
ミズキ:「ごめんな、手伝わせて」
ナツメ:「ううん。でも、大丈夫? 僕は非番だからこのあと眠れるけど………」
ミズキ:「平気だって!」
そう返して、眠そうなナツメと一緒に下男の住居へ戻る。
ネム:「おう。どうしたんだナツメ。フラフラしてるぞ」
フウ:「寝不足かい?」
ミズキ:「俺がメイド長に廊下の窓を今日中に拭いてこいって言われてたんだよ。そしたら手伝ってくれて」
ハギ:「おいおい、二人とも徹夜かよ?!」
ナツメ:「僕は非番だから平気。でもミズキくんが………」
フウ:「今日は休んだほうがいいんじゃない? 顔色もあんまり良くないし………」
ネム:「でもまぁ、慣れてるだろ?」
ミズキ:「うん。慣れてる」
貧民街出身のネムはわかってくれたようで、心配する素振りは見せなかった。
ネム:「ま、寒い夜を切り抜けたら昼に眠れる貧民街とはワケが違うけどな。無理はすんなよ」
ミズキ:「わかってる。メイド長に『勝った』って思われるのが嫌で、つい」
ハギ:「ああ、そりゃわかる」
「慣れていても無理はしないように」と釘を深々刺されてから、朝食をとった。
目玉焼きにベーコン、サラダにミルクにパンと質素な内容ではあったが、王宮御用達の料理人が作っているのもあって味には文句のつけようがなかった。
これから動くための朝食としてはちょうどいい。
フウ:「そうだ、ミズキくん。今日の仕事はまず午前中に買い出しをお願いね」
ミズキ:「買い出し?」
ハギ:「厨房が作ってくれるのは朝飯だけなんだ。俺たちの昼飯と晩飯の賄いは一人一日五百エリクって決まってんだよ」
ミズキ:「一人につき五百エリクもあれば十分だと思うけど………」
ありがとうございました
@angelring いつもコメントをありがとうございます!