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バイリンガルがお勧めする一度は訪れたい5つの世界遺産 Part3-オリンピアの考古遺跡

2.オリンピック発祥の地 オリンピアの考古遺跡(ギリシャ)

 


2020年、東京でオリンピックが開催されます。そのオリンピック発祥の地、ギリシャ・オリンピア古代遺跡(1989年文化遺産登録)への旅のお話をしたいと思います。オリンピア遺跡は、聖火の採火式が行われる五輪聖火リレーのスタート地点なので、2020年にはここから東京へ向けて、聖火がやってくる予定です。
 


私は以前、外国クルーズ船で乗務員をしていて、ギリシャへも往々訪れました。オリンピアのあるペロポネソス半島はもちろん島嶼部分も非常に魅力的なので、ギリシャを船で回るのは、ひいき目でなくともおすすめです。
 


オリンピアの玄関口となる港はカタコロンというところで、とても小さな港です。まず岸壁があり、そしてレストランやお土産屋さんの並ぶ小さな通りが2本伸びているだけのところですが、海と船をすぐ近くに眺めながらシーフードの食事ができたり、思いがけず心地よく過ごせます。


 
カタコロン港からオリンピア遺跡まではタクシーで30分~40分程度(約33㎞)。タクシー乗り場は船を降りてすぐ、小さな港なので本当に目と鼻の先、ギリシャ人だったら鼻が当たってしまうほど近くにあります。運転手と料金交渉をする場合は、片道か往復か、1人ではなく1台の料金であることなどをはっきり確認します。また、運転手兼ガイドのような提案をしてくれる方も中にはいますが、有資格のガイド以外が観光案内で報酬を得ることはギリシャの法律で禁じられていますので、この点留意しておかれたほうが賢明だと思います。


  
さて、オリンピア遺跡へ向かいます。車窓からは、澄み渡るような空が見えます。この辺りにはビーチもあります。

オリンピア遺跡に到着すると、入口近くに遺跡全体の地図があります。競技場や練習場はもちろん、宿泊施設や事務局、給水設備である大きな噴水などもあり、現代と変わらない印象を受けます。遺跡内に木はあるのですが、それでも日蔭は少ないので、特に暑い季節は水の持参と日よけ対策が必須です。
 


古代オリンピック開催の一番古い記録は紀元前776年。発祥はもっと古いと言われ、紀元後400年近くまで千年以上も続きました。近代オリンピックは約120年の歴史ですから、どれほど長いかよくわかります。競技は都市国家対抗で行われましたが、当時のギリシャは今より強大ですから、遠くフランスのマルセイユ(マッシリア)などからも選手が参加していたということです。その間、戦争はすべて一旦休戦にしたそうで、オリンピックが平和の祭典と呼ばれているのにも納得します。また、詩や音楽などの芸術部門もあったそうです。
 


遺跡の中での必見は、やはりスタジアムです。トラックではなく、縦長の形をしています。走った距離は1スタディオン(約191m)で、スタジアムの語源となっています。収容は5万人ほど。
幅20㎝、長さ20mくらい?の石のスタートラインが残っていて、ここで手足を前後に広げ「よーい、スタート!」のポーズをして写真撮影をするのが鉄則なのですけれども、私は船のお客様の写真を撮るのみだったらしく、振り返って見てみれば自分の写真はありませんでした…。中にはそのまま全力疾走する人もいます。古代オリンピアンと同じスタジアムで走るのは不思議なかんじがしますね。

古代の大会でも、不正は厳重に取り締まられました。スタジアム入口の片側には勝者の名前、もう片側には違反者の名前が刻まれたそうで、主だった勝者の名前は今もなお国際オリンピック委員会のオフィシャルサイトで紹介されています。


 

五輪といえばメダルですが、当時2位や3位はなく、勝者を決定するだけだったそうです。時期にもよりますが、勝者への賞品は色々とあったようで、月桂樹の冠をはじめ、大量のオリーブオイル(体に塗って光沢を出す)、政治家や有力者との食事なんていうのもありました。
勝利して国へ凱旋するときは、地元の人々も大熱狂で迎え、ある国では城壁を一部壊して「我々にはオリンピック勝者の強い奴がいるから、城壁がなくても大丈夫」という象徴的なメッセージを表したという逸話もあるそうです。今でも凱旋パレードなどがありますね。
わからないことも多いですが、古代オリンピックにまつわる逸話には、興味深いものがたくさんあります。
 


古代オリンピックが千年も続いたおかげで、オリンピアでは紀元前7世紀からローマ時代までの遺跡を一挙に見ることができます。世界七不思議のひとつ「巨大ゼウス像」がかつてここにあり、その像に向かって選手宣誓が行われたといわれていますし、かのアレクサンドロス大王のお父さん(フィリッポス2世)がオリンピアに献納した建物も残っています。また、ギリシャがローマ帝国の領土となってからも大会は続いたので、ローマの悪帝ネロの家なども敷地内にあります。




  
色々見て歩くと、一休みしたくなりますね。ギリシャのカフェで一服するなら、ポピュラーなものはネスカフェ(泡立ったアイスコーヒー)、ギリシャコーヒー、生オレンジジュース、あるいはギリシャの蒸留酒メタクサやウーゾというところでしょうか。時間がある方は、遺跡のそばの考古学博物館に行かれるのもいいと思います。当時の様子がよくわかり、通常エアコンも効いているので、頭が整理されクールダウンにもなります。





  
船は、オリンピアのほかアテネやその他島々を巡ります。夏のエーゲ海は、時には海面に雲がうっすら映るほど凪いで、本当に綺麗です。荒れることのない安定した美しさからはプロ意識を感じるほどで、天気で泣いた記憶はほぼありません。ギリシャは食事も美味しく、ビーチも充実していて、ナイトライフも明るい雰囲気です。村上春樹さんの本を読まれる方は、地中海への旅行記『遠い太鼓(1990)』を渡航前に読むのもおすすめです。また行きたい場所です。



執筆者 :  lil54

 

世界遺産 日本語 2015/05/06 01:45:00
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